山陽リレーコラム「平井の丘から」
誰もが行きたいところへ行ける社会を目指して 中村敏
私は旅行と、福祉の実務経験を活かし、「ユニバーサルツーリズム」の推進に取り組んでいます。ユニバーサルツーリズムとは、高齢や障がい等の有無にかかわらず、すべての人が安心して楽しめる旅行のことです。
令和7年版高齢社会白書によると、わが国の高齢化率は29.3%、高齢者数は3,624万人となっています。うち、75歳以上の後期高齢者は2,078万と前期高齢者1,547万人を大きく上回り、足腰に不安があったり、持病や障がいにより、旅行を諦めている方が増加しています。
誰もが行きたいところへ行ける社会を目指し、全国で取り組んでいる多様な分野の多くの仲間たちと毎日情報を共有し、課題に立ち向かっています。
今年は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに大阪・関西万博(EXPO 2025)が開催され、日々増え続ける来場者に対応するため、会場を社会実験の場として、様々な取り組みが行われ、私も一研究者として参画しています。
連携して取り組んでいる代表的な取り組みは「LET'S EXPO」です。「LET'S EXPO」とは、三菱UFJ銀行グループが設立した一般社団法人関西イノベーションセンターが運営するユニバーサルツーリズムプロジェクトです。
「行こう。あきらめていた人と。」をテーマに、万博に”簡単に行けない方”の参加を実現するため、現地で利用する「万博会場内サポート」、自宅・施設で利用する「バーチャル体験サポート」、「オンラインツアー配信視聴」の3つのラインナップが実施されています。
私は万博会場内サポートに携わり、奈良県からお越しの福祉施設の高齢者の受け入れのサポートをしたり、全国のユニバーサルツーリズムに取り組む30名の方々を対象とした視察ツアーの企画・運営に携わりました。こうした取り組みを通して得た最新で最先端の情報は、授業の教材として反映させています。
これらの取り組みが全国へ波及し、2025年が「ユニバーサルツーリズム元年」と後世の人々に言われるよう、万博最終日の10月13日まで仲間たちとともに全力で駆け抜けていきます。
