山陽リレーコラム「平井の丘から」

岡山の空とドビュッシーの音楽 桐岡亜由美
[2024年5月27日]

掲載日:2024年5月27日
カテゴリ:こども育成学科
山陽学園短期大学こども育成学科にピアノ教育などの担当教員として着任して、3年目の春が訪れた。関西出身の私は、これまで地元を離れたことがなく、岡山に転勤した当初は不安いっぱいの毎日であった。しかし、今ではいつでも仕事やプライベートのことを相談でき、支えてくださるこども育成学科の教職員の皆様に囲まれて、充実した日々を送っている。

滋賀から転居して、関西とのちょっとした違いや岡山の良さについて、いろいろと感じたり考えたりした。
1番最初に関西との違いを強く感じたのは、水道水のおいしさだった。しかし今回はそのことではなく、毎日の楽しみとなっている“岡山の空”、とりわけ日の入り後の色彩の変化についてだ。

私は自動車運転免許を取得しておらず、自転車通勤をしている。毎日、帰宅する際の西の空の美しさに魅せられている。なかでも、日の入りから暗闇が迫るまでの黄昏時のグラデーションだ。夕日から夜になるまで茜色から群青色に変化する色彩の豊かさはため息が出るほど美しい。そして刻一刻と変化する色彩の絶妙さを見るたびに、ドビュッシーのピアノ作品<版画>から「塔」や「グラナダの夕暮れ」や、<映像第2集>「葉ずえを渡る鐘の音」「そして月は廃寺に落ちる」などの音楽が私の頭の中を流れる。

ドビュッシーはフランス印象主義(印象派)を代表する作曲家である。彼の作曲技法は、調性が長調か短調かをわからなくなるように、和声をゆらぐように変化させることで、音と音の重なりに空間を感じさせるものである。まるで岡山の美しい黄昏時の空のようだ。スペイン音楽の要素も好んで用いたドビュッシーの音楽を聴きながら、私は岡山の空を心から楽しんでいる。

ぜひ皆様も、ドビュッシーの音楽を聴きながら、岡山の夕焼けを見て楽しんでいただきたい。明日へのエネルギーチャージになること間違いなしだ。

デジタル社会に想う 米田瑞生
[2024年5月1日]

掲載日:2024年5月1日
カテゴリ:地域マネジメント学科
昨年の着任以来、情報系の講義を担当しているためか、周囲からは余程のデジタル人間だと思われている節があります。しかし、実はかなりのアナログ人間なのです。身につけている腕時計は機械式(ゼンマイ仕掛け)、自宅の置き時計も「おじいさんの古時計」さながらのほぼ100歳の振り子時計(もちろんゼンマイ仕掛け)です。そして、蓄音機で音楽を聴くのも細やかな楽しみです。

我々昭和生まれ世代が知っている「レコード」は、所謂LP盤ですが、蓄音機で再生できるディスクは更に古い、SP盤と呼ばれるものです。特に1925年以前の録音は、空気中を伝搬する音声の振動を針でディスクに直接刻み込んで記録したもので、電気的な増幅を経ていない、現在のデジタル技術とは対照的な手法です。
過日、この蓄音機に興味をもった友人らが集まり、ちょっとしたコンサートのようなことを行いました。電気が介在しないにも関わらず、大音量で奏でられる音楽に、皆驚いているようでした。

今日、我々は音楽のデータのみを購入し、もはやディスクといった物理的メディアを手にしない時代になりました。場所も質量もなくデータを入手できる利便性は、画期的です。しかし、我々のスマートフォンやパソコンに保存したデータは、その後どうなるのでしょうか?クラウド化した現在、完全に失われることはないかもしれませんが、どのデータがどこにあるのか、将来の世代は把握できるのでしょうか?

その点、仕組みが明らかで修理・メンテナンスが容易であり、物理的にメディアが存在するアナログ機器・データは、実は世代を超えて受け継がれやすいものなのかもしれません。ロゼッタストーンが、デジタルデータでなくて良かった、そう思う今日この頃です。
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