山陽リレーコラム「平井の丘から」

教育は長く、人生は短し 神田將志
[2023年7月31日]

掲載日:2023年7月31日
カテゴリ:地域マネジメント学科
この春、世界的な音楽家、坂本龍一さんが永眠されました。旅立つ2日前まで、坂本さんは東北ユースオーケストラの公演の指導を、病床からリモートで行っていたと聞きました。東北ユースオーケストラとは、坂本さんが東日本大震災の被災地の子供たちや学生たちに呼びかけて始めた地域音楽活動です。彼自身が代表および音楽監督を務め、震災の記憶を風化させないと共に、世界レベルの音楽家を被災した地域から育成することを目指した取り組みです。

7月6日にNHKで放送された坂本さんの追悼番組では、坂本さんの指揮に全力で取り組む東北ユースオーケストラの子供たち、生徒たちの真剣な眼差しがとても印象的でした。ふと、その姿は、自分の教室で私の授業に耳を傾け、毎回ディスカッションテーマに対してGoogleスプレッドシートにしっかりコメントを書き込んで共有してくれる学生たちの姿に重なりました。私自身、ピアノを弾くこともオーケストラの指導もできません。しかし、地域の将来を担う若者を育てることができるのではないでしょうか。

偉大な芸術家と比べるにはあまりにもおこがましいですが、「地域から未来の人財を育てる」という姿勢においては、坂本さんと同じ道を歩んでいるようにも思います。感受性豊かな中学生の頃から私淑してきた坂本さんと、将来、地域から(あるいは地域で)活躍する若者を育てるという志において今、同期できたことに大きな勇気をいただきました。

私には、学生たちに伝えたいことがたくさんあります。毎回の授業や実習で一緒に学ぶ学生たち、いろいろ相談に来てくれる学生たちと話していると、いつかはやってくる卒業式のことを今から考えてしまい、ちょっと胸がキューンとなるときがあります。しかし、大学卒業後も教育は続くものだと思います。社会に揉まれ、相談に来た学生たちへも実社会の経験からアドバイスできるのではないかと考えると、卒業もお別れではないので少し気持ちが救われます。

「芸術は長く、人生は短し」 坂本さんはこの言葉を好まれたそうです。 「教育は長く、人生は短し」 私はこの言葉を胸に、この地域の未来を創る学生たちと一緒に学んでいきたいと思います。

永遠に生き続ける言葉 酒井正治
[2023年7月5日]

掲載日:2023年7月5日
カテゴリ:地域マネジメント学科
みなさんは自分の「死」について考えたことがありますか。ひょっとするとコロナ禍の中で、「自分が感染して、もしかしたら」と想像した人もいるかもしれません。

私の場合、高校生の時、夜、寝る前に、もし翌朝目覚めることがなかったらどうしよう、と布団の中で不安に思うことがよくありました。 なので、もし明日で人生が終わってしまっても後悔しないように今日を生きようと考え、毎日を大事に過ごそうと思いました。当時、私が特に大切に思っていたのは、学校で会う好きな子や友達のことでした。たとえ自分が死んだとしても、彼らの心の中で生き続けられたらとても素晴らしいことです。だから、「人の心の中で生き続けられるように、人の心に届く言葉を贈りたい」と思うようになりました。

多感な中高生の時に聴いた音楽は一生忘れない、と言われるように、ジョン・レノンや尾崎豊の歌詞に心が震えました。もちろん私にはそんな立派な言葉を発することはできません。それでも、現在、山陽学園大学で講義をする際には、たった一言でも聞いている人の心に残る言葉を残したいという想いで臨んでいます。

私の力不足から学生に十分には届いていないかもしれませんが、専門的な内容を淡々と説明するのではなく、そのテーマに関する自分の想いをのせたエピソードをまじえて話すようにしています。また、とてもうれしいことを言ってくれる学生には、恥ずかしがらず、かっこいい言葉を贈っています。

「誰かの心の中で永遠に生き続けたい」と願う気持ちは、きっと私だけではなく、多くの方が持っておられると思います。みなさんも、大切な周りの方に心を込めた言葉を伝えてみてはいかがでしょうか。
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