山陽リレーコラム「平井の丘から」
絵本の世界への切符(認定絵本士養成講座) 磯野千恵[2023年2月27日]
掲載日:2023年2月27日
カテゴリ:こども育成学科
認定絵本士養成講座(こどもと絵本I・II)の授業を今年度(R4年度)から始めました。最初の授業で、学生に「絵本とはどんなものですか」と質問をすると、「赤ちゃんや小さい子どもが読むもの」「お母さんに読んでもらう」「かわいいキャラクターがでてくる」など、学生らしい答えが返ってきました。絵本が大好きと集まった学生たちでしたが、絵本について知っていることは、自分の子どものころの思い出の中のものばかりでした。
そこで、講座の始まりとして、学生たちがこれまでに触れたことのないようなさまざまな絵本を読み合い、感想を話し合いました。
『ルリユールおじさん』いせ・ひでこ作
《主人公ソフィーが、植物図鑑を修復してくれる本造り職人(ルリユール)の生き方に触れていく絵本です。ルリユールおじさんに惹かれて、学生たちの対話が始まりました。》
『かようびのよる』デヴィッド・ウィーズナー作・絵
《火曜日の夜にかえるたちが町の中を蓮の葉に乗って飛びまわるこの絵本に、衝撃の声が上がりました。学生が今まで手にしたことのない絵本でした。》
『アライバル』ショーン・タン作
《新しい地で生活を始める移民の姿が、無言の中に茶褐色のいくつもの絵だけで描かれ、その絵を辿って、読み手は言葉を添えていきます。絵本とは思えない厚みと重みに学生の感想も深くなりました。》
などなど・・・。
学生たちは、今まで知らなかった絵本に出会えた驚きと嬉しさで目を輝かせていました。
絵本は、限られたページに、絵が描かれ、言葉が添えられ、絵と言葉が補完し合って一つの世界を創りあげます。そこには、書き手の様々なメッセージが込められています。読み手はページをめくることで、それを我がこととして引き寄せ、その世界で遊んだり考えたりしながら自らの世界を広げていくのです。
学生たちには、絵本の世界を感じ、自らの人生に絵本を寄り添わせ、子どもたちやいろいろな人に絵本を手渡す人になってほしいと思います。
認定絵本士養成講座(こどもと絵本I・II)の1年間30コマの授業で得た絵本の知識や技能、そして絵本への関心は、絵本への入り口です。認定絵本士の称号を得た学生たちは、絵本の奥深い世界へ入っていくこれからの切符を手にしたのです。
この切符をもって、更に、絵本の世界を学び、絵本に対する知見を深めていってほしいものです。
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