山陽リレーコラム「平井の丘から」
3歳までは母の手で? 権田 あずさ[2019年7月26日]
掲載日:2019年7月26日
カテゴリ:こども育成学科
「ワンオペも 逆手に取れば ひとりじめ」
これは、金融のオリックスグループが毎年企画している「働くパパママ川柳」で2018年に大賞を取った川柳です。さて、この川柳を詠んだのはパパとママのどちらでしょうか?
「ワンオペ」とは、「ワンオペレーション(one operation)」の略で、「1人ですべての作業を行うこと」という意味の和製英語です。主に、飲食店で1人しか店員がいない状態を指す言葉として使用されていますが、最近では、何らかの理由で1人で仕事と家事と育児のすべてをこなさなければならない状態を指す言葉としても使われています。そして、多くの場合「ワンオペ」しているのは母親です。
日本では「3歳までは母の手で」という「3歳児神話」が根強いですが、男性(父親)やその親世代だけでなく、女性(母親)自身が育児は自分の責任だと考えている場合も少なくありません。
確かに、生物学的に妊娠・出産が可能なのは女性だけです。しかし、女性だから子育てが得意なわけではありません。子どものほうも必ずしも母親を求めているとは限りません。子どもが健全に育つには、自分のことを大切に想ってくれる人が必要なのであって、それが母親でなければならないということではありません。そして、子どもは様々な人とのつながりの中で育っていきます。母親は、あくまでもそのつながりの中の1つなのです。
先の川柳のように、大変な状況をポジティブに捉えられることはとても大切なことですが、我が子のかわいさや子育ての辛さをひとりじめせず、どうか周りの人たちと分かち合ってもらえたらと思います。
【参考】
オリックス働くパパママ川柳 https://www.asahi.com/ads/orix-senryu/vol2/result.html
根ヶ山光一・柏木惠子(2010). ヒトの子育ての進化と文化 アロマザリングの役割を考える. 有斐閣.
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