山陽リレーコラム「平井の丘から」
子どもが教えてくれること 清水律子[2026年3月24日]
掲載日:2026年3月24日
カテゴリ:言語文化学科
これまで様々な年代の人たちの英語教育に携わってきましたが、幼い子どもと英語活動を行うときには今も驚かされることがよくあります。それは、子どもたちのことばに対する熱量とでも言うべきものでしょうか。英単語などを覚えるのに熱心だという意味ではなく、英語ということばに対して全身全霊で向き合い、その姿にある種の気迫を感じるのです。
幼い子どもとの英語活動は全て英語で行いますが、戸惑う子どもはほとんどいません。彼らはごく限られた知識しかない外国のことば(英語)の世界で意味を汲み取ろうと、たくましい想像力と集中力を駆使してことばに食いついてきます。英語で話しかける相手(私)の身体全体の動きをなぞり、ことばが意味する形や動きを写しとるだけでなく匂いや感触まで感じ取ろうとしているかのようで、こちらも気を緩めることができません。子どもたちのために指導する側も身体全体でことばと関わることが求められるのですが、これが大人にはなかなか難しいです。
子どもの心身の発達に伴い、こうした身体全体を使ってことばに迫る学び方は影をひそめていきます。別のタイプの学び方に取って代わられたり、そのうちことばとして外国語に向きあうことを忘れてしまったりする場合も少なくないように思います。一方で、表面には出ない形でことばの感覚を心と体に保ち続ける人もいます。あるいは、一度は忘れてしまった学び方を何かのきっかけで大人になって思い出す人もいます。この感覚を思い出すことで外国語の学び方が変わる人もいます。
一緒に英語活動を行った子どもたちが今後どのように成長していくか分かりませんが、幼い頃に外国語に触れたことが、子どもたちの身体の中にことばを学ぶ感覚として残ってくれるのであれば嬉しく思います。
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