山陽リレーコラム「平井の丘から」

大きくなるっていうことは 吉井鮎美

掲載日:2024年12月25日
カテゴリ:こども育成学科
『おおきくなるっていうことは』(中川ひろたか・文、村上康成・絵、童心社)という絵本をご存じでしょうか。この絵本では、洋服が小さくなったり、歯が生えたり...と子どもが感じる視点、保育者にとっての視点などから「大きくなるっていうことはどういうことか」が描かれています。保育所等では進級した際などによく読まれているそうです。

最近私は「大きくなるっていうことはどういうことか」を息子の姿から考える機会が多くあります。4歳の誕生日を迎えてからというもの「4歳だからできる!」となんでも挑戦しようとしたり、張り切って取り組んだりするようになってきたのです。先日、某教育番組を息子と一緒に観ていた時、出演している子どもが「○○ちゃん、3さいです」と自己紹介しているのを聞いて、息子は「ねえ、この子3歳だって。ぼくはもう4歳だよ。3歳はまだ小さいんだよね。」と私に伝えてきました(私は心の中で息子に「同い年だよ」とツッコミました)。“4歳になった”ということが、子どもにとってこんなにも誇らしく自信につながっていることに日々驚かされています。

さて、大きくなるのは小さな子どもばかりではありません。大学生をみていても「大きくなったね」と感じる場面がたくさんあります。1年経てば表情や振る舞いが変わってきます。それは、大学での勉学、研究、実習での経験はもちろんのこと、部活、アルバイト、ボランティア、友人との遊びも含めて、高校生までとはちがう行動範囲でさまざまな経験を重ねているからだと思います。

この原稿を書きながら、ふと自分が大学生の頃のゼミでの指導場面を思い出しました。不真面目な大学生だった私は、ゼミを休んで遊びに行ったことがありました。指導教員から欠席理由をたずねられて正直に答えると、「遊んでいたならいいんだ」と言われ...てっきり叱られると思っていて拍子抜けしたのです。その指導教員は「よく学び、よく遊べ」と遊ぶことも大事なことだと教えてくださいました。それは、遊びの中で社会のことを学び、それが人としての成長を促し、研究にもよい視点をもたらすと考えておられたからだと今は思います。

冒頭に紹介した絵本の中に「おおきくなるっていうことはおもしろいことがどんどんみつけられるってこと」という記述があります。大学生のみなさんも、これから入学してくださる方も、大学生活で「おもしろいことを」どんどん見つけて「大きくなって」くださいね。
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