山陽リレーコラム「平井の丘から」
地域経済学の視点から考える「地域」の価値 多田憲一郎[2026年6月16日]
掲載日:2026年6月16日
カテゴリ:地域マネジメント学科
私は今年(2026年)の4月1日より本学の教授に就任しました。「地域経済学」を専門とする研究者です。昨年より「日本地域経済学会」の会長も務めております。これから、この「平井」の地で研究や教育に励みたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。
さて、皆さんは、経済学にどのようなイメージをお持ちでしょうか。経済学は「市場」を分析対象とする学問ですが、需要曲線や供給曲線など、グラフや数式のイメージが強いと思います。もちろん、そのような手法の経済学もありますが、それが経済学のすべてではありません。私の専門とする「地域経済学」は、「市場」のみを分析対象とせず、「市場」を取り巻くコミュニティや文化などとの関係も視野に入れて「市場」を分析する経済学です。
注目される地域経済を調査しますと、経済活動だけでなく、コミュニティ活動なども活発であることに気づかされます。例えば、岡山県真庭市は「バイオマス」という地域資源を軸とした経済発展で注目されていますが、詳しく調査しますと、だんじり祭りという文化の土台があり、祭りにより形成された「人と人との絆」が地域に張り巡らされていることがわかります。地域経済の発展は、このような「非経済的領域」に規定されている側面があります。
本学の立地する「平井」を調べますと、この地域は全国に誇れる素晴らしい地域であることがわかりました。例えば、本学名誉教授の濱田栄夫先生のご著書『門田界隈の道―もうひとつの岡山文化―』を拝読しますと、本学周辺が福祉や人づくりの文化に溢れた全国でも稀有な地域であることが書かれています。この地域は本学の「宝」です。本学は、平井の歴史や文化などの資源を掘り起こして「新たな価値」を創造する知的拠点にならなければなりません。それは建学の精神とも重なり、本学の揺るぎない存立基盤となります。
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