山陽リレーコラム「平井の丘から」

甘いものすきですか ~ 和菓子のすすめ  小野 和夫

掲載日:2019年3月15日
カテゴリ:健康栄養学科

 ある調査では、「甘いものが好きですか」という問い対し、回答者の74%が「好き」と答え、「嫌い」と答えた人はわずかに2%でした。残りは「どちらでもない」です。甘味は動物種を問わず広く好まれることが知られていますが、人もまた甘味を好むことを示す結果です。また、10歳代や20歳代の若年世代の方が30歳代以上より甘味嗜好が高いことも示されました*。

 さて、砂糖を使用する菓子類はまさに「甘いもの」ですが、ショートケーキなどの洋生菓子系と和生菓子系では好まれ方に差があることも明らかになっています*。20歳前後の男女大学生を対象に各種菓子類に対する好き嫌いの割合を現在と過去(小学生の頃、中学生の頃)について主観的に自己申告してもらった結果、85%が洋生菓子を「好き」と答え、その嗜好は過去から変っていませんでした。一方、餡入り和菓子について現在「好き」との回答は56%ですが、過去(37%)と比べて増加しています。小学生の頃は嫌いであったが、中学生頃から好きになるという傾向が見られ、女子学生により顕著でした。砂糖と脂質を多く含む洋菓子系の甘味食品に比べると、その多くが小豆餡を使用している和生菓子は子どもにはあまり好かれないようです。大人になり和生菓子の食感や風味などに馴染んだことに加えて、低カロリーでポリフェノールなどの機能性成分を多く含むことも「好き」の割合が増加させる理由かもしれません。

 砂糖が遣唐使により日本に初めてもたらされた当時は大変な貴重品であり、薬用として使われました。その後の砂糖の普及は、和菓子を生み出し、日本の食文化として定着させることに大きく貢献しました。和菓子には「その季節だけにつくられる和菓子」と「季節を表現する和菓子」のふたつがあります。適度の砂糖の摂取は、知的活動の活発化や気分の改善に効果が認められています。季節を映す和菓子と抹茶でリフレッシュされてはいかがでしょうか。
                     
(食物栄養学科 小野和夫)

                                        
*砂糖百科 p.124~126 社団法人糖業協会 (2003)
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