山陽リレーコラム「平井の丘から」

「ぼたもち」の思い出  廣田 幸子

掲載日:2019年6月5日
カテゴリ:健康栄養学科

 岡山に来て約2ヶ月が経ちました。先日、家の近くのスーパーマーケットに行って気がついたことがあります。惣菜売り場に「ぼたもち」がないことを、、、

 私の故郷、福岡県の筑豊地方では、総菜売り場に1年中、ぼたもちが並んでいます。筑豊地区はかつて、石炭の産地でした。その石炭を採掘すると捨石(ぼた)とよばれる石が発生します。その捨石が山のように積み上がった山を「ぼた山」と呼び、ぼた山は、故郷の風景でもあります。炭鉱の仕事は重労働なので、甘いお菓子が必要だったことと、故郷のぼた山よりぼたもちを好んだのでしょう。

 その「ぼたもち」には同じ食べ物であって、食べる季節によって呼び分けられている「おはぎ」があります。春の彼岸の頃に咲く牡丹の花より「牡丹餅=ぼたもち」、秋の彼岸の頃に咲く萩の花より「お萩=おはぎ」、日本には四季があるからこそ、その季節に咲く花の名前がつくなんて素敵ですね。

 また、ぼたもちに欠かせない食材として、小豆があります。小豆は日本古来の食べ物として親しまれ、その食べ方には赤飯や小豆飯、餡などがあります。その赤飯や小豆飯の飯は、赤く色づきます。その赤く色づいた飯には、小豆の種子に含まれるアントシアニンなどのフラボノイドが結合しています。現在、私は、飯に結合した小豆フラボノイドが飯でんぷんの消化を抑制できることをテーマに、研究を行っています。研究で使用する小豆を見ると、祖母が作ってくれた粒あんのぼたもちが食べたくなります。

最近の更新状況
推し活ブーム 中平絢子[2024年3月28日]
マラソンを通じて思うこと 森本眞寿代[2024年1月23日]
こころを大切にする 赤井美智代[2023年10月31日]
「栄養教諭」は「食の大切さ」の伝道師です 岩崎由香里[2023年9月29日]
日本語の変化と日本語教師 山田勇人[2023年8月8日]
教育は長く、人生は短し 神田將志[2023年7月31日]
永遠に生き続ける言葉 酒井正治[2023年7月5日]
働くことと愛すること 毛利猛[2023年5月16日]
茶道の心得 野々上敬子[2023年3月30日]
絵本の世界への切符(認定絵本士養成講座) 磯野千恵[2023年2月27日]
わくドキの子どもの心に寄り添う 前田信美[2023年1月27日]
みなさん データサイエンスを勉強しましょう 岩本隆志[2022年12月14日]
農福学連携をとおして 大島珠子[2022年11月24日]
母と私と息子たち 目良宣子[2022年10月3日]
「地元」に伝え残したいもの 大木淳子[2022年9月21日]
プラットフォーマーと大学 西川英臣[2022年8月1日]
新たな教育県岡山に向けて 菅野昌史[2022年7月21日]
現場から得られる宝物 横溝功[2022年6月8日]
好感度はどう上げる? 藤田依久子[2022年5月27日]
英語圏へのどこでもドア 中野香[2021年6月2日]
不要不急の30年  田辺大藏 [2020年7月16日]
コロナ禍の中で  北岡宏章[2020年6月30日]
手段の目的化  荒木大治[2020年4月3日]
Hair Donation  那須明美[2020年3月11日]
セルフ・エフィカシー  加藤由美[2020年2月25日]