山陽リレーコラム「平井の丘から」
春を感じる桜餅 松井 佳津子
朝晩はまだ肌寒さはあるものの、草木が萌え芽ぐみ次第に春の訪れを感じる季節となりました。桜の花の開花が待ち遠しいですね。 そんな桜の葉を使った和菓子で、色と香りで春を感じさせてくれる「桜餅」があります。桜の葉で餅を包む工夫は江戸時代に発案されたそうです。この桜餅、2種類あることはご存知でしょうか?「桜餅」と言われて思い浮かべるのは、住んでいる地域によって異なります。 もち米を一度蒸して、乾燥させて粗く砕いた道明寺粉を使って作る「道明寺」。道明寺粉を蒸して餡を包んでいるため、お米の食感が残りつぶつぶとした皮が特徴です。「上方風の桜餅」「関西風の桜餅」といわれ、岡山に住む私たちが食べ親しんでいる桜餅です。
一方、「長命寺」といわれる桜餅もあります。「江戸風の桜餅」「関東風の桜餅」ともいわれていますが、こちらは皮の材料に小麦粉が使われています。小麦粉に水を混ぜて薄く焼いた皮で餡を包んでいます。「長命寺」と呼ばれる由来は諸説あるようですが、江戸時代、東京の隅田川沿いに長命寺では、川沿いの桜の木から落ちる葉の掃除に日々頭を悩ませていました。そこで、桜の葉を塩漬けにし、それにお餅を包んだのが始まりだとか。長命寺というお寺で初めて作られたことからこの名前がついたそうです。
関西風と関東風の桜餅に共通しているのが、餅を包んでいる「塩漬けの桜の葉」の存在です。桜の葉で包むことで、特徴ある香り付けやお餅の乾燥を防ぐ効果があります。この葉を食べるのか食べないのかと議論されることもあるが、正式な食べ方は決まっていないようです。
昨年の5月、私は学内の桜の葉を摘み取り塩漬けにして保存しています。約一年がたち塩漬けされた桜の葉も、そろそろ出番だと感じているかもしれません。
山陽学園の桜の葉のお味はいかがでしょうかね。美味しい桜餅に変身することを願いつつ、心を込めて作りたいと思います。